ニキビとは
炎症性ニキビとは
10台の後半から男性ホルモン等の内分泌因子の分泌がさかんになると、皮脂を作る工場である皮脂腺が成熟し、さかんに皮脂を作るようになります。
そしてホルモンや遊離脂肪酸等の影響により毛穴の中程が角化(厚く硬くなること)し皮脂の通り道が狭くなります。毛穴の中はどんどん皮脂が貯まっていき、角質と皮脂、毛がカタマリになって、終には毛穴を塞いでしまいます。このようにカタマリになったものをメンポー(コメドー)といいます。
毛穴が開いていて先端が黒くなっている黒ニキビ(開放メンポー)と、毛穴が閉じている白ニキビ(閉鎖メンポー)があります。これらを非炎症性ニキビといいます。
炎症性ニキビとは
毛穴の中には皮脂の好きなニキビ菌(P.acnes)や表皮ブドウ球菌という細菌が生育しています。よってメンポーによっ
て出口が塞がれ、皮脂が過剰になった毛穴の中で菌の増殖が促進され種々の炎症誘発物質を産生します。
リパーゼという酵素は、皮脂の中性脂肪を加水分解し、遊離脂肪酸に変え角化、炎症に関与しています。そして好中球走化性因子は白血球の一つである好中球を毛に呼び寄せ、ニキビの炎症化の引き金として最も重要視されています。
毛に来た好中球は活性化され、活性酸素やライソゾーム酵素を放出し、毛穴の壁を破壊すると考えられています。いったん壁が壊されると、その内容物が炎症を更に助長すると推測されています。
これらを炎症性ニキビといいます。この状態を放置しておくと瘢痕を残すことになります。
つまりニキビには炎症があるかないかによって2つのステージに分けられるのです。したがって治療もこの事を良く理解した上で考えなければなりません。
アイスピック状のハンコン
女性ニキビ患者の7割程が生理前にニキビが悪くなり、生理が始まると何となく落ち着くといいます。これら女性のほとんどは正常月経でありホルモン異常もありません。
それでは何故生理前増悪となるのでしょうか。
アンドロゲンのような男性ホルモンは炎症を引き起こしますから、アンドロゲン量の変化、あるいはそれに対する抗アンドロゲンによる拮抗作用もニキビ悪化に関係がありえます。性ホルモン、特にアンドロゲンがニキビ形成に関与していることは周知のことです。とりわけジヒドロテストステロン(DHT)は皮脂の中性脂肪産生を促し、皮脂量を増やします。また中性脂肪はニキビ菌の栄養となるものです。
男性ニキビ患者の場合、正常人と男性ホルモンの血中濃度は有意差がないというのが定説ですが、女性ニキビ患者の場合、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)およびその硫酸抱合型(DHEA-S)これらは副腎で産生される男性ホルモンで、テストステロンほど作用の強いものではありませんがの上昇、DHTの代謝産物である3α―アンドロスタンジオールグルクロニドの上昇が軽度ですが報告されています。
そして黄体期には、DHEA,DHTが正常人に比して高値となるという報告があります。この時期、エストロゲンの分泌は減っており、こうした内分泌変化は月経前のイライラ等を総称した月経前症候群ともあいまって、ニキビ増悪とつながります。さらに毛穴のサイズの変化も生理前増悪因子の一つかもしれません。
毛の開口部は生理周期16~20日に最も小さくなるという報告があります。そうなると皮脂の流れをせばめ、ニキビ菌の増殖を促し、炎症物質が毛包内に集まってしまう。こうして生理前増悪の準備
ほんの数年前まで、ニキビ治療はイオウカンフルローション、アクアチムクリーム、そしてミノマイシンなどの抗生剤を処方するしか選択肢はありませんでした。多くの患者さんはそれで軽快したものです。
ところが最近、抗生剤で治らないあるいは中~重症例のニキビが増加する傾向があります。
どうしたらよいのでしょうか。
まず第一にニキビという病気をよく理解している医師~少なくとも皮膚病のプロである日本皮膚科学会認定皮膚科専門医であることは最低条件でしょう。(皮膚科専門医と称する医師で専門医でない医師がいるのです。)
第二にニキビに関心がある専門医でなければなりません。よく診療所や大学病院へ行っても、ニキビに興味のない皮膚科医は「ニキビが出来るのは当たり前だし、ある程度ほっといても自然に治ってしまうから」と投げやりな態度で接するドクターがいます。このようなドクターは論外でしょう。
第三に治療するツールやテクニックがなければなりません。例えばケミカルピーリングはグリコール酸が主流ですが、グリコール酸+乳酸のダブルピーリングのほうがより効果的であり、炎症が強いときに行うとかえって悪化します。さらにピーリングとレーザーは同時に行なってはいけません。トレチノイン(レチノイン酸)の外用は刺激作用をいかに抑えてニキビに効かせるかがテクニックとなるのですが、それには0.05%~0.1%までの種々の濃度のものがそろっていなければなりません。また外用1ヶ月間は効果がなく1ヵ月後より良くなってくるのです。そしてニキビ治療に適したIPLを持っているかどうかも極めて重要なポイントでしょう。
ケミカルピーリング
これらを受診する医療機関に問い合わせするのもレベルチェックになるでしょう.
エステと皮膚科のピーリングの決定的な違いは『強さ』にあります。2000年にエステでのケミカルピーリングが厚生労働省によって禁止されて以来、エステでは濃度を非常に薄くした液を使用しているようです。もちろん効果はほとんど期待できません。
皮膚科で行うケミカルピーリングの強さ、施術方針は、各医療機関・医師によって異なります。ピーリングを熱心に研究して行っている病院のケミカルピーリングは、肌の状態に応じてピーリングの強さを調節しますから、皮剥けや赤みなどの副反応が少なく、なおかつ、高い効果が期待できます。
~弱過ぎるケミカルピーリングは…~
肌質改善のためには、ある程度の強さ(グリコール酸のケミカルピーリングではpH無調整で20%以上)のケミカルピーリングを行う必要があります。弱いピーリングでは、一時的なツルツル感を得ることはできますが、ケミカルピーリングの醍醐味ともいえる『肌質の改善』には到りません。
~強過ぎるケミカルピーリングは…~
むやみに強いケミカルピーリングを行うと、強い赤みが出たり、皮剥けによる色素沈着のリスクが高くなります。特に私たち黄色人種の肌は傷跡(炎症後色素沈着)が残りやすく、欧米で人気のディープピーリングは危険です。それに、いくらきれいになるといっても、顔が真っ赤になって、しばらく外に出られなくなるような治療には抵抗がある方が多いと思います。
ケミカルピーリング 通常料金 1 回250 baht 1 週間1 回
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